止まらないハーランド、進化遂げたペップ…マンチェスター・シティがCLを制覇できる6つの理由

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イングランド王者は今、絶好のタイミングで調子を取り戻し、ついにチャンピオンズリーグを手にするためにすべてがうまくいっている。

今に始まったことではないが、チャンピオンズリーグでのマンチェスター・シティには星が並んでいるように感じられる。

ベスト16でRBライプツィヒを7ゴールで下した後、準々決勝ではバイエルン・ミュンヘンを相手に力の差を見せつけ、ベスト4へ進出した。

シティのファンは、ヨーロッパのトップコンペティションでの輝かしい失敗を思い出す必要はないだろう。彼らは、2017年にモナコ、2019年にトッテナム、そして昨シーズンはレアル・マドリーに苦汁をなめさせられてきた。

一方、ペップ・グアルディオラは、2020年のリヨンによる衝撃的な敗北と、2021年の決勝でのチェルシーへの敗北において、その疑わしい戦術が激しく非難された。

しかし、カタルーニャの監督は、ディフェンスを改革し、ジャック・グリーリッシュを無私で知的な選手に変えたことで、今最高のバランスを見つけた。そして、アーリング・ハーランドという超人的なストライカーが、想像しうる限りのゴール記録を塗り替えながら、チームを牽引している。

では、今年はついにシティの年になるのだろうか? GOALは、それが実現しそうな理由を分析する。

  1. CLへ燃えるハーランド
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    CLへ燃えるハーランド

    シティと対戦するチームは、ハーランドに何をされるか悪夢を見ることだろう。

    直近のチャンピオンズリーグでの3試合だけでも、彼は7ゴールを挙げている。RBライプツィヒ戦では自己最多の5得点を挙げ、グアルディオラが残り30分で交代させなければ、6、7得点していたかもしれない。

    そして、世界最高のチームのひとつであるバイエルンとの2試合で1ゴール2アシストを記録し、改めて並のストライカーではないことを証明した。

    すでにモハメド・サラーが持つプレミアリーグ38試合で32ゴールという記録に並ぶなど、今シーズンの最も重要な局面で、彼は最高のムードに包まれている。チャンピオンズリーグのプレッシャーで萎縮してしまう選手もいるが、ハーランドの場合は逆で、最高の力を引き出してくれるようだ。

    ハーランドは「チャンピオンズリーグでプレーできることを誇りに思う。誰もが知っているように、僕はこの大会が大好きなんだ」と認めている。

    これまでCLのシティは重要な瞬間に多くの明確なチャンスを逃してきた。だが、ハーランドは過去21本のシュートで16ゴールを決めており、それが問題になることはないだろう。

  2. ペップが本領発揮
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    ペップが本領発揮

    シーズン中盤にファーストチョイスのサイドバック2人をチームから外し、その不在をほとんど感じさせずに守備陣を改革できる監督が他にどれだけいるだろうか。

    グアルディオラがジョアン・カンセロとカイル・ウォーカーに施したのは、これである。

    カンセロは一昨シーズン、シティで最も影響力のある選手の一人だったが、監督は突然、守備の資質からセンターバックのナタン・アケを左サイドバックに起用することに決めた。そして、カンセロがバイエルンへレンタル移籍することを許したのだった。

    また、ウォーカーは3バックと2人の守備的MFという新しい守備の形には適さないと判断し、イングランドのスター選手をスタメンから外している。

    グアルディオラは、選手が誰であろうと、決して安住させることはないということを思い知らせる出来事であった。

    また、ケヴィン・デ・ブライネの調子に公然と疑問を投げかけ、ハーランドにもっとチームのプレーに参加するよう指示。チーム全体を厳しく糾弾することも行ってきた。

    その結果として現在、プレミアリーグでは6連勝中で、タイトル争いでアーセナルを追いつめている。

    グアルディオラは先週、選手たちに「負けたら終わり」と警告し、選手たちの気を引き締めるために信じられないような仕事をしている。その執念が、ついにチャンピオンズリーグ制覇につながるかもしれない。

  3. ルベン・ディアスが最高の状態に
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    ルベン・ディアスが最高の状態に

    バイエルンを退けたシティでは、ハーランドが再び見出しを飾ったかもしれないが、この勝利はディフェンスの活躍抜きに語ることはできない。

    ディアスは巨人のような守備の壁となり、バイエルンの攻撃をことごとくブロックし、マヌエル・アカンジとアケも特にファーストレグでは傑出していた。

    中盤でロドリとコンビを組み、右サイドバックとしてもカバーするジョン・ストーンズのパフォーマンスも格別だった。

    しかし、バックラインが印象的だったのは、バイエルン戦だけではない。シティはチャンピオンズリーグで最高の守備力を誇り、10試合でわずか4失点、直近11試合中6試合でクリーンシートを達成している。

    2022年のレアル・マドリー戦など、後半の守備の乱れによって、過去には大きな損失を被ったこともある。しかし、今の彼らはとても堅固で、守備の形は特に後方でよりコントロールできるように設計されているように見える。

  4. 調子を取り戻したデ・ブライネ
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    調子を取り戻したデ・ブライネ

    ベルギー人選手は、グアルディオラ監督と激しい関係にある。デ・ブライネは、このチームで間違いなく最高の選手であり、ペップにとってはリオネル・メッシ以来、一緒に仕事をしてきた最も才能ある選手である。今月初めには、デ・ブライネが最速でプレミアリーグ通算100アシストを達成した選手となった。

    しかし、グアルディオラはしばしばデ・ブライネに不満を抱いているようで、今シーズン何度も呼び出している。

    今シーズンは9ゴール22アシストと大活躍のプレーメーカーは、監督との間にある嵐のような感情が、最高のパフォーマンスを引き出しているように思える。

    新年早々、トッテナム戦のスタメンから外れるなど、彼自身の高い基準からすれば、比較的静かなスタートを切ったが、ここにきて“復讐心”を燃やしている。

    2月のアーセナル戦では1ゴール1アシストと主役級の活躍を見せ、今まさに最高の状態に達している。シティでの直近7試合で、6アシストと2ゴールを記録し、特にライプツィヒ戦とリヴァプール戦では圧倒的なパフォーマンスを披露している。

    ハーランドのゴールラッシュを支え、両翼や中央突破で相手を切り裂いてきた。敵の悪夢であり、チームメイトの夢でもあるデ・ブライネは、このチャンピオンズリーグの大一番で力を発揮するだろう。

  5. ジャック・グリーリッシュ2.0
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    ジャック・グリーリッシュ2.0

    昨シーズンのチャンピオンズリーグで、グリーリッシュはほんの少ししかプレーせず、決勝トーナメントでは一度も出場しなかった。

    実際、彼の出場は、トンネル内でアトレティコ・マドリーのステファン・サヴィッチと衝突したことと、ベルナベウでのレアル・マドリー戦でビッグチャンスを逃したことが主に記憶に残っている。

    しかしシティでの2年目では、足元を固め、シーズンを通してハーランドに次ぐベストプレーヤーであると主張できるだろう。

    守備では肺が増えたのかという勢いで走り、攻撃では指揮官が求めることを的確にこなすなど、少し時間はかかったが、グアルディオラにとって完璧な選手となった。

    彼はもはや攻撃のためだけの選手ではなく、グアルディオラの勝利製造機の設計者の一人であるのだ。

  6. レアル・マドリーが唯一のライバル
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    レアル・マドリーが唯一のライバル

    準々決勝でバイエルンと対戦することになったとき、シティは想像以上に厳しい抽選になったと思ったかもしれない。しかし、ファーストレグの3週間前にユリアン・ナーゲルスマンを解任したバイエルンでは全く敵わないことを証明した。

    今、ベスト4へと進出し、チャンピオンズリーグ初優勝を阻む唯一のチームはレアル・マドリーのみとなった。

    もしシティが準決勝でカルロ・アンチェロッティのチームを倒すことができれば、決勝の相手がミラノ勢のどちらだろうと、トップレベルでは質でも経験でも劣るチームと対戦することになる。

    だからといって、シティがマドリーに勝てるかというとそうではなく、本当に手ごわい相手だ。グアルディオラ監督が昨年経験したように、14回の欧州チャンピオンは、たとえすべてが不利になりそうなときでも、決して無視することはできない。

    しかし、マドリーにも弱点はあり、不調のチェルシーでさえも、チャンスを作ることはできたのだ。実際、マドリーは国内でも浮き沈みの激しいシーズンを送っており、ラ・リーガのタイトル争いではバルセロナに11ポイント差をつけられている。

    そして決定的なのは、シティがセカンドレグをエティハドで戦うことだ。マドリーが昨年の大会で優勝するまでの3度の逆転劇に大いに役立ったホームアドバンテージを奪うことができた。シティが悲願の夢を実現する準備は整ったのだ。