リヴァプールのようにドラマを作るチームはほとんどないが、今回だけは、アンフィールドでの後半の攻撃を見せてもホームのファンがショックを受けたままだった
ユルゲン・クロップ監督率いるチームは1日、今シーズンに必要な弾みをつけたかに見えたが、レアンドロ・トロサールに後半に同点ゴールを決められ、ブライトンが3-3の引き分けに持ち込んだのである。
トロサールは、プレミアリーグ史上、リヴァプールとのアウェイ戦でハットトリックを達成した3人目の選手となり、1995年のコヴェントリーでのピーター・エンドロブ、2009年のアーセナルでのアンドレイ・アルシャビンに続く快挙となった。
前半18分にベルギー代表FWがブライトンに2-0のリードを与えたが、リヴァプールは前半終了間際、後半頭にロベルト・フィルミーノが得点。力強い反撃を見せた。
しかし、トロサールが残り7分でゴールを決め、ロベルト・デ・ゼルビ監督の初陣がポジティブな形で始まり、ポジティブな結果も残すことができた。
しかし、リヴァプールにとっては、多くを約束しながらも、今のところ失望以外の何物でもないシーズンが続き、さらに勝ち点2を失ったことになる。
では、この試合の勝者と敗者になったのは誰か。
・ロベルト・フィルミーノ
かつてのような活躍はできないかもしれないが、リヴァプールにおけるロベルト・フィルミーノの重要性を疑ってはいけない。
このブラジル人選手は、ブライトンの早い時間帯のリードを打ち消すために2得点を挙げ、クロップ監督率いるチームの目を覚ませた人物である。今シーズンのゴール数は5となり、昨シーズン全試合で記録した11ゴールにあと一歩のところまで来ている。
前半終了間際、ジョーダン・ヘンダーソンのパスを受けたモハメド・サラーがゴール前で触ったボールに上手く反応、冷静にネットを揺らした。さらに、交代出場のルイス・ディアスからのパスを受け、見事な足さばきで左足でゴールに流し込み、2-2としている。
ハットトリックを達成すれば、さらに大きな喝采を浴びたことだろう。
・レアンドロ・トロサール
トロサールにとって、この日はまさに彼の1日だった。
左足で3つのシュートを決めたブライトンのベルギー代表選手は、プレミアリーグ史上アンフィールドでハットトリックを達成した3人目のアウェイ選手となった。
2009年にアーセナルで4得点を挙げたアンドレイ・アルシャヴィン以来、これほどまでにリヴァプールファンを驚かせた選手はいなかった。1995年にコヴェントリーでプレーしたピーター・エンドロヴが、ハットトリックを達成したもう一人の選手である。
トロサールはカタール・ワールドカップのベルギー代表で先発の座を狙っており、シーズン序盤の彼の活躍はロベルト・マルティネス監督の目に留まるに違いない。足も頭の回転も速く、その動きでトレント・アレクサンダー=アーノルドを翻弄し、チャンスが来ればきっちりとフィニッシュまで持っていく。
リヴァプールで絶好調のアリソン・ベッカーを打ち負かすには、そうでなければならなかった。しかし、試合後に彼がトロサールに贈った抱擁がすべてを物語っていた。
最高のパフォーマンスに対してリスペクトを。
・ルイス・ディアス
たらればを言うのは簡単だが、この試合でコロンビア代表FWが先発していたらどうなっていただろう?
ユルゲン・クロップ監督は、ディアスだけでなく、ダルウィン・ヌニェスやディオゴ・ジョタをこの試合でベンチに置いたのは、慎重を期してのことだった。ディアスはこの試合の2日前、9月29日の朝遅くにインターナショナルウィークから戻り、一度だけチームとトレーニングをしていた。
クロップ監督は彼を完全に休ませたかったのだろうが、2-1でハーフタイムを迎えたリヴァプールには、黄信号が点灯していた。非力なファビオ・カルバーリョに代わってディアスが投入されると、すぐにレッズに欠けていたものが見えたのだ。
ディアスは左サイドを突破し、フィルミーノの同点弾をアシストをしている。
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれてもおかしくない活躍だったが、トロサールにはそれ以上のアイデアがあった。
・トレント・アレクサンダー=アーノルド
カタール・ワールドカップでの活躍が期待されていたが、リヴァプールの右サイドバックが必要としていたのはこれではなかった。
アレクサンダー=アーノルドは、ここで何事もない午後のひとときを過ごし、神経を落ち着かせ、スポットライトを浴びないようにしたかったのだろうと想像できる。しかし、それは叶わなかった。
5分後には、印象的なトロサールがゴールを決め、18分にはそのトロサールがブライトンのリードを2倍にしてしまった。
この23歳の選手には、緊張の色が見て取れた。慌てたパス、誤ったヘディング、乱暴なクリア。コーナーキックは良かったし、その内の一つは逆転となるオウンゴールを誘発した。しかし、ブライトンが後半に彼のサイドを完全に制した。三笘薫からのクロスを許し、トロサールが1点を返すという最後のドラマを献上した。
・ダルウィン・ヌニェス
前回、リヴァプールがホームで3失点を喫したのは、当時ベンフィカで躍動していたダルウィン・ヌニェスが主な原因だった。
4月に敵チームとしてベンフィカでプレーしたウルグアイ人選手のチャンピオンズリーグでの活躍は、レッズが夏に彼を獲得することに熱心だった理由の一つである。その夜、彼は圧倒的な活躍を見せた。1ゴールを決め、フィルジル・ファン・ダイクとジョエル・マティプは終始苦境を強いることになった。
さあ、今はどうだろう?89分にベンチから出され、リヴァプールが後半に勝ち越しを狙ったものの、実を結ばずに終わった。
ヌニェスがボックス内でボールを追いかけてファウルを献上した後、ブライトンのファンたちは、「お前はク○なアンディ・キャロルのような奴だ」と冷酷に歌い上げた。このような比較は不公平だが、ヌニェスがリバプールでの活躍をもっと早くにスタートさせることを想像していたことは間違いないだろう。
・リヴァプールのトップ4への希望。
プレミアリーグのタイトルはひとまず忘れてほしい。リヴァプールの頭にあるのはチャンピオンズリーグ出場権であり、スタートダッシュを考えると、真の懸念があるはずだ。
アーセナルとマンチェスター・シティが躍進し、マンチェスター・ユナイテッドが向上し、チェルシーが結果を出し続ける中、レッズは圧倒されている。
試合は残っているかもしれないが、首位のアーセナルとはすでに11点差、1日にエミレーツでアーセナル敗れたトッテナムとは7点差である。昨シーズンはシティと互角に渡り合っていたが、新シーズンは、追いかける側がクロップ監督に追いついてきたように見える。
その証拠に、ブライトンが確かに良い例だろう。
アリソン・ベッカー(8/10)
前半にウェルベックとトロサールから決定的なセーブを見せたが、2失点についてはほとんど何もできなかった。3-2での決定機の場面では、ウェルベックにショックを与えることができた。素晴らしいパフォーマンスで、勝利の女神に相応しい。
トレント・アレクサンダー=アーノルド(5/10)
ブライトンの先制点では、トロサールの見事な足技に倒され、2点目の場面では、ボールを失ってしまった。最近の自分の能力についての議論に影響されたのか、イラついているように見えた。彼のコーナーキックが最終的にリヴァプールの3点目につながったとはいえ、議論していた人たちにとっては今日の彼の背中を見るのは嬉しいだろう。
コスタス・ツィミカス(6/10)
何度か良いプレーを見せたが、ミルナーと交代する直前に見せたゴール前でのシーンでは、シュートを打つべきだっただろう。
ジョエル・マティプ(6/10)
ボールを持った瞬間は良かったが、ブライトンの序盤の動きには戸惑っていた。後半は良くなったが、一度だけスリップしてしまう場面があった。
フィルジル・ファン・ダイク(7/10)
2-0の場面で重要なブロックを見せたが、マティプと同様にスロースタートだった。後半は、自陣を上手く守っていた。
ファビーニョ(6/10)
序盤は、リヴァプールがあまりにも簡単にプレーしていたため、低調なプレーが目立った。後半は、ディフェンスしながら、フォワードにボールを供給する役割を果たしたが、ブライトンが同点弾を狙う中、流れを止めることはできなかった。
ジョーダン・ヘンダーソン(6/10)
スロースタートで、2-0となって以降に初めて本領を発揮した。しかし、試合を振り出しに戻すために、何度も素晴らしいパスを出し、フィルミーノの両ゴールに大きく貢献した。
チアゴ・アルカンタラ(7/10)
序盤は、リヴァプールが中盤を支配するのに苦労していたため、ペースがつかめなかった。しかし、中盤を支配した時、このスペイン人選手はその存在感を発揮した。
モハメド・サラー(6/10)
序盤からリヴァプールの脅威となる走りを見せ、そのうちの1つは決定的なゴールへと繋がった。その後、ラストパスやフィニッシュに導くことはできなかったが、常に危険な存在であった。仕事量も申し分ない。
ファビオ・カルバーリョ(5/10)
左サイドで少し迷っているように見えたが、中に絞ってプレーしている時は良くなっていた。ハーフタイムにディアスと交代で退く。
ロベルト・フィルミーノ(8/10)
2ゴールでリヴァプールのシーズン得点王に躍り出る。どちらも自信を持って決めていた。ハットトリックを達成できたかもしれないが、GKサンチェスに防がれてしまった。
ルイス・ディアス(7/10)
フィルミーノの同点弾をお膳立てし、ブライトンの守備陣に様々な問題を引き起こした。先発できた?もしそうなら、リヴァプールは勝っていたかもしれない。
ジェームズ・ミルナー(5/10)
左サイドバックで出場したが、終盤にトロサールが同点に追いついた際には見失って出遅れ、攻撃面でもあまり良いところを見せられなかった。
ハーヴェイ・エリオット(5/10)
良いタッチを見せたが、それほどインパクトはなかった。
ディオゴ・ジョタ(5/10)
上に同じく。
ダルウィン・ヌニェス(-/10)
3-3となった後半終盤に投入されたため、ありがたくない仕事を任された。レッズでのキャリアをスタートさせるためには、もっと大きな役割が必要だ。
ユルゲン・クロップ監督(5/10)
ディアス、ジョタ、ヌニェスを外し、慎重を期したが、ブライトンに序盤から猛攻に遭ったため、その決断は報われなかった。ディアスは状況を変えたが、ミルナーとエリオットにはそれができず、3-2で試合を終えることができなかった。勝っていれば、もっといい雰囲気になるはずなのに…