アーセナル×マン・U。好調の2チームを支える今季ベストパフォーマーは誰?
『GOAL』では、この大一番を前に、好調の両チームの中でハイパフォーマンスを披露している選手をピックアップする。※成績はプレミアリーグ
編集部のおすすめ
- (C)Getty Images
アーセナル:DFガブリエウ・マガリャンイス(18試合2ゴール)
ウィリアム・サリバのパフォーマンスに注目が集まりがちだが、今季のガブリエウの活躍を忘れてはいけない。ビルドアップ時にもボールを怖がらずに持ち、パスの選択肢の幅も大幅に向上。空中戦でも高さを生かして両ボックス内で脅威となる。ピンチの場面でも多少無理な体勢で体を張ることもいとわず、GK前最後の壁として立ちはだかる。そして最大の特徴は、敵陣で味方がボールを失った瞬間に前へ出て、ボールを受けようとする相手FWを潰しきってしまうこと。これがあるからこそ、アーセナルは敵陣で長くボールを支配することが可能となり、厚みのある連続した攻撃が可能となる。アルテタ・アーセナルが目指すプランを遂行する上で非常に重要な存在。この3年間で目覚ましい成長を遂げている。
- (C)Getty Images
アーセナル:DFベン・ホワイト&DFオレクサンドル・ジンチェンコ(18試合2アシスト/11試合1アシスト)
現在のアーセナルにおいて基本的なゲームメイクを担う選手は3人いるが、トーマスとともにその役割を遂行するのがこの両サイドバックだ。ホワイトは下がり目の位置から冷静に状況を分析して豊富な種類のパスやムーブで相手を動かし、機を見た効果的な攻撃参加でサカをサポート。守備時にも味方をうまく使いながら的確な読みで相手アタッカーを潰していく。一方のジンチェンコはいわゆる“偽サイドバック”的な動きでピッチ中央でボールを触り、細かいパスとポジショニングを繰り返してボールを前進させ、時にドリブルでチャンスメイクまで行う。アルテタ監督が絶大な信頼を寄せる2人であり、抜群のサッカーIQを誇る彼らもまた、いるといないでは試合が変わるほどの影響力を持つ。守備者として最も信頼できる選手の1人である冨安健洋の存在も欠かせないが、ホワイト&ジンチェンコのプレースタイルは現チームの戦術ベースであり、両者が優先されるのは現時点で自然な流れとなっている。
-
- (C)Getty Images
アーセナル:MFトーマス・パーティ(15試合2ゴール)
後方からのビルドアップが高く評価されるアルテタ監督のアーセナルだが、文字通りその“心臓”がトーマスだ。中盤底を基本ポジションとしながら何度もボールに触って味方にポジションを取る時間を作りつつ、前を向けば鋭い縦パスでチャンスを演出。そして守備時は強靭なフィジカルと鋭い読みを生かし、ボールを刈り取る。これまでは溢れるパワーを抑えきれずにミドルシュートが遥か上空へ飛んでいくことも珍しくなかったが、今季は速度を落としつつ冷静にコースを狙うことで枠をとらえる場面も増えてきた。ビルドアップの中心から攻撃にアクセントを加え、守備時には相手の攻撃の芽を摘む……現代最高峰のアンカーと言っていいだろう。不在時のチームは全くの別物になるほど、その影響力は大きい。
- (C)Getty Images
アーセナル:MFマルティン・ウーデゴール(17試合8ゴール5アシスト)
昨季途中からキャプテンを務める24歳は、今季新たなステージへ突入。類まれな技術と幅広い視野、絶妙なポジショニングに意外性のあるアイディアで攻撃の中心を担うだけでなく、今季はシュート意識が大幅に向上。特にボックス外から積極的に左足を振り抜き、トッテナムのダービーでも見事なミドルを突き刺した。すでにゴール数はキャリアハイに到達。チャンスメイクだけでなく、ゴールも狙える「怖い」存在へと成長した。またボール保持時には天才肌のNo.10としてピッチに君臨するが、ひとたび相手にボールが渡れば猟犬のように相手を追い回す。さらにプレス時の判断、味方への指示、コースの切り方と、現代サッカーにおいて彼以上に優秀なファーストディフェンダーもそういないだろう。ノルウェーの“神童”として15歳でサッカー界に現れた男は、9年の時を経て、ノルウェーの“怪物”へと進化している。
-
- (C)Getty Images
アーセナル:FWブカヨ・サカ(18試合6ゴール7アシスト)
17歳でプロデビューを飾って以降、成長が一度も止まらないどころか急加速しているウインガーのサカ。抜群の切れ味光るドリブルとスピードで「前を向けばほぼ確実にチャンスを作る」が、その強靭なフィジカルと巧みなボディコントロール、スペース認知力で「前を向く力」が別次元へ突入した。さらにシーズンを追うごとに得点関与数も増加しており、90分を通して高いインテンシティを維持して守備時も重要な役割を担っている。プレミアリーグだけでなく世界を代表するウインガーとも言えるサカは、この驚異的な成長速度を考えれば、「世界最高の選手」と呼ばれるレベルに到達してもおかしくはないだろう。それが下部組織から生まれたことを考えると、アーセナルにとって彼の存在が持つ意味は計り知れない。
- (C)Getty Images
マンチェスター・U:DFルーク・ショー(15試合1ゴール1アシスト)
そのキャリアで大きな浮き沈みを経験してきたルーク・ショーだが、今季は最高の姿を見せている。タイレル・マラシアの加入により自身のポジションが失われる可能性もあった中、一対一で抜群の強さを誇る守備力だけでなく攻撃時でのクオリティでもオランダ代表DFとの違いを発揮。さらに、リサンドロ・マルティネス不在時の数試合は左センターバックとしても、足元の技術を活かした質の高いビルドアップと的確な対人守備を見せている。左サイドバック時には中央に入ることで相手のマークをずらし、インナーラップとオーバーラップを織り交ぜて相手をかく乱するなど、攻撃面での質も向上。今夏に28歳となる中で全盛期を迎えようとしている。
- (C)Getty Images
マンチェスター・U:MFカゼミーロ(16試合2ゴール3アシスト)
レアル・マドリーであらゆるタイトルを勝ち取ったセレソンの守備者は、イングランドにおいても自身の力を証明している。テン・ハーグ監督が徐々にチームに馴染ませたこともあって、秋以降に本領発揮。スペインとのプレースピードの違いから時折ビルドアップのミスはあるものの、類まれな危険察知能力を活かしたボール奪取とソリッドなタックルにより、中盤を引き締める。プレミアリーグにおいてはその足元の技術も高い水準にあり、上手さと強さを兼ね備えたチームの支柱に。累積警告で敵地でのアーセナル戦に出場できないのはテン・ハーグのチームにとって痛恨となる。
- (C)Getty Images
マンチェスター・U:MFクリスティアン・エリクセン(18試合1ゴール7アシスト)
移籍金なしということも考えれば、特大ホームラン補強と言っていいだろう。エリクセンは多く人の予想を裏切るほどのパフォーマンスを見せている。昨夏にフリーでユナイテッド入りしたプレーメーカーは、今季リーグ戦17試合に出場して1ゴール、そしてリーグ3位の6アシストを記録。中盤の底から試合をコントロールし、広い視野と多彩なキックで攻撃のスイッチとなるパスを前線に供給し続けている。また、守備力の高いカゼミーロとのコンビは補完性抜群。最終ラインと前線をつなげる際のリンクマンとして機能し、高い戦術理解度に裏打ちされたポジショニングも匠の技。好調のマンチェスター・Uを支えている。
-
- (C)Getty Images
マンチェスター・U:MFブルーノ・フェルナンデス(18試合4ゴール3アシスト)
数字上では公式戦26試合で4ゴール5アシストと初年度に比べて目を見張るものではないが、ブルーノ・フェルナンデスは間違いなく今季もチームの中心だ。カゼミーロとエリクセンの加入により、守備の負担減に加えて攻撃時の自身へのマークも分散。そのため、ブルーノ自身が消える試合はほとんどない。その中でも、決して守備意識を失うことなく、試合をとおして走り切る献身性は相変わらず。チームがハイプレスに入る際には、自身の前線からのプレスを合図とするスイッチ的な役割も担いながら、ボール保持時にはしっかりと決定的な仕事を果たす頼れる存在だ。
- (C)Getty Images
マンチェスター・U:FWマーカス・ラッシュフォード(19試合8ゴール3アシスト)
覚醒のシーズンと言っていいだろう。直近のマンチェスター・シティ戦でもネットを揺らしたラッシュフォードは、12月から1月にかけて公式戦7試合連続ゴール。キレのあるドリブルと圧倒的なスピードに加え、最近はフィジカルの強さが拡大に増しており、ボックス内での仕掛けから強引にゴールをこじ開ける場面も目立っている。そのポテンシャルには、数々のスターと共闘したカゼミーロをして「このままいけば余裕で世界トップ5の選手」と言わしめるほど。今季以降、アレックス・ファーガソン元監督が退任した2012-13シーズン以降の初優勝をクラブが成し遂げるためには、この男が怪我などで離脱することなく結果を出し続けることが必須となるだろう。