「Jリーグにいる一番のお手本」なでしこの守護神・池田咲紀子が目指したGKとは?
2022年1月下旬から2月にかけて、男子・女子日本代表はともに「W杯の切符を懸けた」戦いが待ち構えている。
男子は、カタールワールドカップアジア最終予選の中国戦とサウジアラビア戦(27日、2月1日・埼玉スタジアム)。そして、女子は20日から2023年女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会予選を兼ねたAFC女子アジアカップインド大会に臨む。
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東京五輪に続いてなでしこジャパンのGKを任されるのが、三菱重工浦和レッズレディースの池田咲紀子だ。
■女子と男子。変わらぬ浦和の誇り
2022年は彼女にとって、サッカー人生の新しい幕開けと言っても過言ではない。昨年9月のWEリーグスタート以前は仕事とサッカーを両立する生活を送り、サッカーに集中できる時間は限られていた。しかし、女子のトップリーグがプロ化されたことをきっかけに、自身もプロ選手となった。「1日をサッカーに使える時間が本当に増えたので、サッカーに対する気持ちや頭の整理に使える時間がとても増えた」と話す。サッカーだけに打ち込む女子代表活動へのスタート地点なのだ。
そんな池田が、プロの先輩としてすぐ隣で活動する浦和レッズへの感謝と憧れについて語った。
「タイミングが合えば男子のトップの試合を見に行ったりします。先日、国立で行われた天皇杯にも行きました。改めて、浦和レッズは日本一のクラブだなと感じました。サポーターがいい雰囲気を作っていて、選手がピッチでそれに応えるように躍動しているのを生で見て、鳥肌が立ちました」
「それを見て、私たちも皇后杯で優勝したいと強く思いました。男子女子ともにカップを掲げたいな。あとは、『女子の皇后杯決勝にもあのくらいのファンが来てくれたらいいね』とみんなで話していました」
三菱重工浦和レッズレディースはWEリーグに所属するクラブの中でも熱いファンが多いほうだが、いつか男子オンリーの浦和ファン・サポーターが女子の試合にもきてもらえるように魅力を伝えたいと語る。
「女子サッカーは細かいポジショニング、パスワーク、そして細かなプレーでのこだわりが魅力です。男子はスピードで海外とやりあえる選手が多いと思いますが、女子はまだ少ない。だけど、その分一人ひとりが良い立ち位置と味方をサポートして繋いで行くという考えのもとサッカーを組み立てています。そのこだわりは負けてないんじゃないかなと思います」
「個人的には前線に入れるボールだったり、ビルドアップの関わり方のポジショニングだったり、ボールの配球にこだわっています」
■池田の身近な一番の手本
「男子チームのGK西川(周作)選手のプレーをよく見ます。難しい試合とか1-0の試合や0-0の試合で、チームを助けているプレーがとても多い。ビルドアップも、シュートストップも、声かけも立ち振る舞いも、すべて(フィールドの?)選手のプラスになると思う。レディースの応援もすごくしてくれるんです。本当にすごい選手が近くにいるのがありがたいんです」
池田の守備からの安定したビルドアップやGKからの正確なボールの配給は、なでしこジャパンでも定評がある。チームの攻撃面での強みになりつつあるそのプレーは、”同じチーム”の守護神が刺激となり手本となっていた。
現在、欧州各国では、男子・女子チーム双方を保有する流れがスタンダードになっている。しかし、まだ日本では少ない。2022シーズンJ1・18クラブ中、4クラブしか女子チームを保有していないのが現状だ。
そんな中、浦和レッズは昔から女子チームを保有し、埼玉県はもちろん、県外の少女たちの受け皿となってきた。池田も浦和レッズの生え抜きだ。さいたま市の街クラブ・浦和ラッキーズFCでサッカーを始め、ジュニアユースから浦和レッズに所属。「浦和」のトップチームでプレーするという夢を持ち、今や浦和を、そして日本を背負って戦っているのだ。
来るインドでの戦いで、池田は浦和で、そして西川周作から学んだものを出し切れるか? なでしこジャパン、アジア3連覇へ。大会初戦は21日・ミャンマー戦となる。
(写真・Masahiro Ura)